劇団Z・Aさんの公演を撮影した雑記(前編)
2月29日に公演された「赤を啜り、終焉は虚無と知る」の撮影をさせていただきました。
まず公演についてはこちらを。
劇団「Z・A」さんのウェブページ
公演の特徴としては、何より激しい動き。魅力であり、撮影にあたっては頭を悩ませる存在です。
さて当日ですが、まず午前中に行われたゲネプロでイメージを掴みます。
会場のマリナート小ホール最後列はかなり見下ろす構図で、アイレベルと異なりどうしても臨場感が出にくいのでいかに上から見ている感を消せるかは大事だなと。あと事前に調べた印象通り大きく速い動きが多く、かなり大変そうだな、という印象でした。
ひとまず機材の設営。今回の機材は
(右)望遠担当
EOS-1D MarkⅣ+SIGMA APO 100-300mm F4 EX DG HSM
カーボンマスター913PRO+マスターデラックスブラック雲台
(左)広角~標準担当
X-H1+XF 16-55mm F2.8 R LM WR
カーボンマスター803CF+PBH-425
です。会場まで電車移動だったので重い三脚を持ち出したくなかったのでカーボンを2本。雲台も軽いものを選びました。
EOS-1D MarkⅣに関しては静音シャッターでもかなりシャッター音が響くので本番中はタオルを掛けてなるべく邪魔にならないように。静穏シャッター時は連写ができないので、動きのあるシーンではシャッターのタイミングを予め決めておいて撮影です。
X-H1は実はこれが初めての撮影でした。結論から言えば、バッテリー持ちだけがすべてのネックになっていると感じました。今回は適当に書きますがまた詳しいことを別の記事に。画質はかなりよかったです。
今回撮影のチャンスは2回でした。ただカメラは2台あるので実質的に失敗はできない状況です。
撮影設定は両方、基本的にSS1/250か1/200でF値開放、ISOオートだった気がします。特に動きの多いシーンはSS1/400まで上げたかもしれません。RAW現像で露光補正している写真もあるので一概には言えませんが…
まず昼の部。
シルエットでのシーンなのでほぼ真っ暗です。動画としてならもっと暗くても断片的な情報で何をやっているかが分かるのですが、写真は一瞬だけですべての情報を伝えなければならないので完全なシルエットではなく輪郭が見えるか見えないかのところまで露出を上げます。ISO5桁は1D4では非常用ですがこれは非常時なので妥協。
数少ない縦構図。ゲネプロでやりたかった構図なので三脚座回して撮影。大画面で見るとピント来てない気もするけど目を細めて見てください
このシーン、真っ暗な舞台にスポットライトの明かり一つだけという場面ですが、そのままだと写真にしたときスポットライトの部分だけが浮かんでいても何も分からないので、背景となる人物の表情がギリギリ判別できるくらいまでコントラストを下げ、露出を上げています。
スポットライトを活かせたかなと。この前後は殺陣が続くのでSS上げて。個人的なお気に入りの一枚です。
実はこの写真に限らず、ホワイトバランスは毎回とても悩んでいます。オートで撮影してからRAW現像時に細かく設定しているのですが、この写真のような主題と背景の色温度が大きく違っている場合にどの程度まで背景の色温度に寄せるか、難しいです…。今回は背景が不自然になるギリギリまでシアンに寄せたはずです。
真っ暗です。多分露出補正+2/3段とかしてます。先ほどの色温度問題、この写真は赤を大事に手を入れていません。
剣が振られているところを強調するためシャッタースピードは1/200固定。ピント合わせるか直前まで迷いました。
先ほどと同じ真っ暗なステージにスポットライトだけの状況。この写真に関しては二人の関係が見えるような写真を撮ることが前提条件なのでコントラストを下げてどちらも主題に。
物語としてのクライマックス、最も大事なカットだと思っています。このシーンはピントを外さないことをひたすら頭に置いて、広角寄りでまずフレームに入れてあとでトリミング前提で撮っています。露出に関しても同様に明るくても暗くても現像で振れるような完全なマニュアル値での撮影です。
完全なシルエットはこのカットだけかもしれません。今回は記録的な写真が多いですが、このカットに関しては撮影段階から露出も決まっていて作品的なタッチにしています。
いかがだったでしょうか。僕は大変でした。気づかぬうちに2000字を超え、1時を越えてしまったので後編として夜の部をまた気が向いたらまとめていきたいと思います。